平成23年度第2回月例薬学セミナーのお知らせ
日時: 平成23年6月3日(金)15時30分~17時
場所: 静岡県立大学小講堂
題目: ニトロソ化ストレスによる神経変性疾患発症
講師: 上原 孝 教授 (岡山大学薬学部薬品作用学分野)
概要:
我々は、脳虚血に応じてup-regulateされる内在性細胞死抵抗因子として、蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)を単離同定した。一方で、このPDIは一酸化窒素(NO)の基質であり、活性部位のシステイン残基がS-ニトロシル化されると酵素活性が著しく阻害されること、その結果、小胞体内に未成熟蛋白質が蓄積し小胞体ストレスを介してアポトーシスが惹起されることを見出した(Nature 2006;441:513-517)。さらに、ヒト死後脳を用いた解析から、この反応が孤発性パーキンソン病やアルツハイマー病の発症に関わることを明らかにした。本講演では、ニトロソ化ストレスによるこれら病態の発症メカニズムおよび最近展開している診断・治療薬開発について解説する。
問合先: 薬理学分野 石川智久