平成23年度第4回月例薬学セミナーのお知らせ
日時: 平成23年7月11日(月)15時00分~16時30分
場所: 静岡県立大学小講堂
題目: 生物時計の異常に起因する睡眠障害と遺伝子診断、および時間薬理学的治療アプローチ
講師: 三島 和夫 先生 (国立精神・神経医療研究センター)
概要:
日本人の約30%が何らかの睡眠問題を有し、その半数はQOL の低下を伴う臨床群(睡眠障害群)であり睡眠医療を要すると考えられている。すなわち、睡眠障害は極めて頻度の高い疾患であり、代表的な国民病の一つである。睡眠障害はその病態から約100 種類に分類されるが、その中には生物時計の調節障害のために慢性的な不眠症状と多様な随伴精神体症状を呈する疾患群があり、概日リズム睡眠障害(Circadian rhythm sleep disorders; CRSD)と総称される。睡眠障害の専門外来を受診する患者の約20%はCRSD に該当し、一般に難治性で罹病期間も長い。
生物時計システムの分子メカニズムが明らかになるのと並行して、CRSD の分子病態が急速に解明されつつある。CRSD に対してはベンゾジアゼピン系睡眠薬など従来の不眠症治療薬は無効であり、メラトニン受容体作動薬等の生物リズム調整剤が有効である。ただし、同剤は投与時刻により作用特性や有効性が顕著に変化するため、時間薬理学的視点からの慎重な投与設計が求められる。
本講では、日本におけるCRSD の病態生理研究の現状と診断・治療法開発への取り組みをご紹介する。
問合先: 臨床薬効解析学分野 伊藤 邦彦