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第220回 月例薬学セミナー (平成24年度第3回)

 

日時:   平成24年6月11日(月)午後3時~4時30分

場所:   静岡県立大学小講堂

 

演題:   「酸化LDL受容体LOX-1の研究からわかったこと」

演者:   沢村 達也 博士

(国立循環器病研究センター研究所 血管生理学部 部長)

 

世話教室:   分子病態学教室

対象:   大学院生、学部生、教職員、その他学外の方

 

概要: 動脈硬化のもっとも重要な危険因子はコレステロールであり、その担体のうちLDLが悪玉コレステロールと呼ばれているのは周知のとおりである。ただLDLは正常な状態でも血液中を大量に循環している。そこでLDLそのものではなく、それがある種の変性により修飾されたものが重要ではないかと1980年代には考えられるようになった。そして、酸化変性させたLDLがマクロファージに作用し動脈硬化巣に特異的にみられる泡沫細胞の誘導や、血管内皮細胞の機能異常を導くことから、特に酸化LDLが重要ではないかと考えられるようになった。これが「酸化LDL仮説」である。「では、その受容体は何か?」マクロファージの受容体はSR-AやCD36が知られているが、血管内皮細胞機能変化に重要な血管内皮細胞の受容体は知られていなかった。それを1997年に同定したものがLOX-1である。以来、一貫してLOX-1の研究を行ってきたが、酸化LDLの受容体としては、LOX-1は期待通り、酸化LDLによる内皮機能変化、例えばNO放出の抑制、活性酸素の産生、細胞接着分子の発現誘導などを引ぁw)€ォ起こし、動脈硬化を促進する。ところが、それだけではなく心筋細胞に発現して心筋梗塞巣の拡大に働いたり、傷害血管の平滑筋に発現して血管再狭窄に働いたりするなど当初の予想以上に動脈硬化性疾患と深いつながりがあることがわかった。その一方で、LOX-1は酸化LDLとは全く異なるリガンドを認識することもわかった。すなわち、LOX-1はアポトーシス細胞の貪食に働いたり、C-reactive proteinを結合して補体系活性化に働いたりするのである。これら個別の現象の意味はともかく、全体として何を意味するのであろうか?思っているところに答があるとは限らないし、手にした答が思いがけない意味を持つこともある。人間の無知を反省しながら、LOX-1の持つ意味や動脈硬化そのものの意味を折に触れ振返ってきた。本講では、LOX-1の研究データをご紹介するだけでなく、私の小さな経験から得た研究の考え方や、動脈硬化研究の展望にも触れられたらと思う。

 

問い合わせ先:静岡県立大学薬学部 分子病態学教室  森本 達也

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月例セミナーちらし(PDF)

 

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