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research

2010/09/27 ホウ素原子が管制塔となって、反応をコントロール

1902年に初めて報告されて以来、医薬品等の骨組みを構築するために繁用されてきました。しかし、ベンザインと反応する分子の接近方向を制御することが極めて難しく、この問題解決が長年の課題でした。今回、研究グループはホウ素が電子対を受け取る能力(ルイス酸性)と電子を与える能力(小さな電気陰性度)の両方を巧みに利用しました。すなわち、ベンザインに結合させたホウ素によって、分子が接近する方向を自在にコントロールしながら、炭素と炭素を結合することが可能になりました。(下図)。これは、一世紀を超えるベンザイン研究の歴史の中での快挙です。また、生じた環状炭素骨格に残ったホウ素基は、後に多様な置換基に変換できます。

 

本法を利用すれば、医薬品や医薬品候補化合物を迅速かつ高選択的に合成できることから、今後の様々な応用が期待されます。

発表論文: Preparation and Regioselective Diels-Alder Reactions of Borylbenzynes: Synthesis of Functionalized Arylboronates Takashi Ikawa, Akira Takagi, Yurio Kurita, Kozumo Saito, Kenji Azechi, Masahiro Egi, Keisuke Kakiguchi, Yasuyuki Kita, Shuji Akai, Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 5563.

図

 

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