第1回 瓦場の校舎 (2016. 2. 18掲載)

 静薬といったら、「小鹿」のイメージが強い方が多いのかも知れない。少し若い世代になると、「草薙」が大学時代を過ごした街として印象に残っているであろう。今回の写真はそのどちらとも違う「瓦場町」に校舎のあった静岡女子薬学校時代の本館である。

 静岡県立大学薬学部は、前身である私立女子薬学校が大正5年に開校されてから丁度今年(平成28年)で100年を迎える。この間、財団法人静岡薬学専門学校、県立静岡薬学専門学校、静岡薬科大学などの変遷を経てきた。私立静岡女子薬学校は、岩崎眼科医院の岩崎照吉によって設立され、鷹匠町(現 葵区鷹匠三丁目付近)にあった岩崎眼科医院の一室を教室として使用していた。岩崎の名は現在も、学部卒業生の最成績優秀者に贈られる岩崎賞として遺されている。

 大正13年には独立校舎が瓦場町(現 葵区瓦場町)の元長寺の門前に竣工し、翌大正14年に移転した。写真の建物は、その後、昭和5年に完成した本館である。2階建木骨コンクリート張りの洒落た建物で、当時の金額で12,500円もの巨額の建築費がかかっており、薬学校に対する期待の大きさを伺い知ることができる。

(参考資料:静薬六十五年史)