- 作成日 2011年6月20日(月曜)00:00
浅井章良 (創薬探索センター教授、専門:創薬科学、ケミカルバイオロジー)
HOPE AND HELP
シカゴの国際外科学会本部に隣接する国際外科医学博物館では、花岡青洲の錦絵をはじめ、医学や薬学に関する歴史的資料が多数展示されています。正面入り口の石像に刻まれた “HOPE AND HELP”の言葉には、我々が先人たちから受け継ぐべき力強いスピリットを感じます。私ががん治療を目的とした研究に携わってから20年以上になります。この間の腫瘍分子生物学の目覚ましい進展により、がん組織が巧妙な手口でぬくぬくと成長しヒトを蝕むメカニズムが、遺伝子やタンパク質レベルで明らかになってきました。つまり“がん”との闘いに勝つ為の新しい戦略を練ることができる時代になってきたのです。私の研究室では、勝つために相手を知る、つまり小賢しい“がん”について皆で学び、理解を深めることにより、“がん”の弱点を狙った新しい薬の研究開発に取り組んでいます。上手く進めば、効果が高くかつ副作用の低い抗がん剤を世に送り出せる可能性があります。今なお増え続けるがん患者にとっての、“NEW HOPE AND HELP”を目指します。