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第281回 月例薬学セミナー   

日時:令和元年11月26日(火) 16:00〜17:30

場所:静岡県立大学 草薙キャンパス 小講堂

対象:大学院生,学部生,教職員(学外の方の参加も歓迎いたします)

演題:"周辺環境因子シグナル伝達物質であるaryl hydrocarbon receptorリガンドの腸管内免疫制御機構の解明"

講師:筋野智久 先生 (慶應義塾大学医学部 消化器内科 講師))

 

要旨 Aryl hydrocarbon receptor(AHR)は環境因子由来のシグナルセンサーとして知られており、皮膚、肺、腸管をはじめとしたバリアーサイトに発現している。元々はdioxinに対するレセプターとして発見されたが、近年では食事、特にブロッコリーをはじめとした緑黄色野菜を中心にしたトリプトファン代謝産物がAHRのリガンドとして機能することが報告されている。

  さらにAHRは免疫細胞、上皮細胞を中心に発現していることが知られている。AHRリガンドは免疫細胞としては腸管上皮内の免疫細胞の分化、及び腸管免疫細胞innate lymphoid cell (ILC) 3細胞に働きかけることで上皮粘膜バリア増強作用を有するIL22産生を誘導する。また、上皮細胞はAHRシグナル欠損によりWntシグナル制御ができなくなることで上皮の増殖にブレーキが効かなくなり癌化に寄与することが知られている。このように外来から取り込まれるAHRリガンドは多くの細胞にとって重要な外界のシグナル伝達因子として機能している。近年筋野先生のグループは中国では以前より使用されている生薬である青黛の科学的証拠を創出する目的で下痢、下血が長期にわたり続く免疫難病である潰瘍性大腸炎患者に対し臨床試験を行なった。その結果半数以上において青黛内服が有効性を示すことを見出した(Gastroenterology 2018)。青黛はindigoを中心にAHRリガンドを多く含んでおり、詳細な炎症抑制効果についての機序は不明である。

  本講演では、AHRリガンドと腸内細菌を含めた体内の免疫制御機構の関連性を、筋野先生らの研究を中心に紹介していただく。

 

 

  問い合わせ先・連絡先(世話教室)             

静岡県立大学 薬学部 衛生分子毒性学分野     

吉成 浩一                

Tel: 054-264-5685                                 

Email: yoshinari[at]u-shizuoka-ken.ac.jp         

 

静岡県立大学薬学部・薬学研究院

〒422-8526

静岡県静岡市駿河区谷田52-1 

電話 054-264-5102