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2015/06/19 月例薬学セミナー(柴﨑 正勝 先生)

第245回月例薬学セミナー(平成27年度 第3回)

 月例セミナー チラシ

日時: 平成27年6月19日(金) 16:00~17:30
場所: 静岡県立大学 小講堂
世話教室: 医薬品創製化学 講座
対象: 大学院生、学部生、教職員 (学外の方の参加も歓迎いたします。)

演題: 「協奏機能不斉触媒・最近の進歩

演者: 柴﨑 正勝 先生

   (公益財団法人)微生物化学研究会・理事長、微生物化学研究所・所長

 http://www.bikaken.or.jp/research/group/shibasaki/shibasaki-lab/index.html

概要:

  生命体内に無数に存在する巨大分子の酵素は特定の分子構築に最も効果的な触媒であり、それを凌駕する低分子量の人工触媒の創製は不可能であろうと考えられていた。約50年前のことである。2015年の現在、状況は劇的に変化しており、酵素を凌駕する程の数種の低分子量人工触媒が開発されるに至っている。本分野は地球環境維持の観点から今世紀さらなる飛躍的発展が期待される。ここではまず、アルドール反応という代表的な炭素-炭素結合生成反応を進行させる酵素の機能を紹介する。この酵素には実に様々な機能が含有されている。例えば、この酵素中には亜鉛イオンが位置固定されて存在し、ルイス酸として機能する。その結果、反応に関与す二つの基質の一つ(ケトン)が配位することにより、その基質の位置固定と活性化が可能になる。つまり、近傍に存在する弱いブレンステッド塩基であるカルボキシレートイオンにより容易にケトンの脱プロトン化が起こり、活性構造(亜鉛エノラート)に変換される。一方、もう一つの基質(アルデヒド)の位置固定と活性化は水素結合を通して成されている。単にH+が移動するのみで触媒的に不斉な炭素-炭素結合が生成する高原子効率機構は驚く程精密であり、酵素が巨大分子であるが故にはじめて可能であるとも言える。しかしながら酵素反応はあまりにも精密であり、適用可能な基質の厳しい制限が幅広い物質変換には重大な障害となる。我々は酵素反応と同様、単にH+の移動のみで不斉アルドール反応を実現する触媒の開発に成功した(1992年)。

  我々の研究の発端は、酵素の基質特異性を克服すべく、しなやかな構造の低分子量人工ルイス酸触媒に様々な酵素類似機能を導入できないかという興味であった。このような我々の研究上の興味は、ルイス酸とブレンステッド塩基機能を併せ持つ触媒、さらにはルイス酸とルイス塩基機能を併せ持つ触媒の創製として開花し、この分野では世界を完全にリードする研究を展開している。すなわち、協奏機能不斉触媒の概念を確立し、実践的応用でその独創性を実証している。

  今回の講演は、最近の成果であるチオアミド触媒的不斉アルドール反応、アンチ選択的触媒的不斉ニトロアルドール反応及びアミド触媒的不斉 Mannich反応を中心に発表する。

  

  なお、「医薬品創製化学特論」の履修者は必ず受講してください。

 

問い合わせ先:
静岡県立大学 薬学部 医薬品創製化学講座
濱島義隆

Tel: 054-264-5672
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静岡県立大学薬学部・薬学研究院

〒422-8526

静岡県静岡市駿河区谷田52-1 

電話 054-264-5102