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真核生物由来のデカリン環がDiels-Alder反応により作られることをはじめて証明

 

本学薬学部 生薬学分野 渡辺 賢二 教授とUCLA(米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校) Yi Tang 教授らは、糸状菌Myceliophthora thermophile(マイセリオフィソラ・サーモフィル)の生産する抗生物質「マイセリオサーモフィン」の化学構造に含まれるデカリン骨格が生体分子内のDiels-Alder反応により生合成されることを明らかにしました。

 

酵素が触媒するDiels-Alder反応は新たに2つの炭素ー炭素共有結合を立体選択的に構築します。ジエンとジエノフィルが存在する分子を基質とする分子内Diels-Alder反応では、基質が非酵素的に立体選択性を伴うこと無く環化することが知られています。今回の研究では、この不安定な分子(基質)を単離し、酵素MycBによりマイセリオサーモフィンのデカリン環をトランス型のデカリン構造に作りかえる反応を観測できました。また、MycBはこれまでに機能が明らかにされたいかなる酵素とも相同性を示さないことから、この酵素の詳細な解析を進めることで、反応遷移状態や酵素的Diels-Alder反応の普遍性を明らかにすることが期待できます。

 

本研究成果は、本学薬学部 生薬学分野 渡辺 賢二 教授とUCLA Yi Tang 教授らによるJSPS頭脳循環共同研究成果であり、化学分野において権威のある国際化学雑誌「Journal of The American Chemical Society」(2015/2016 Impact Factor: 13.038) 電子版に2016年1126日付けで掲載されました。

2016 1130  

〈掲載された論文〉

Biochemical Characterizataion of an Eukaryotic Decalin-Forming Diels-Alderase

Li Li, Peiyuan Yu, Man-Cheng Tang, Yi Zou, Shu-shan Gao, Yiu-Sun Hung, Muxun Zhao, Kenji Watanabe*, K. N. Houk* and Yi Tang*

 

関連リンク:ACS Publication

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jacs.6b10452    

 

静岡県立大学 薬学部 生薬学研究室

http://sweb.u-shizuoka-ken.ac.jp/~kenji55-lab/

 

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