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天然物生合成における酸化的環化反応の解明

 

本学薬学部 生薬学分野 渡辺 賢二 教授と米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLAYi Tang教授らは、天然物の骨格構造を最も大きく変化させる反応である “環化反応” に関わる酸化酵素の反応機構を詳細に解析し、近年得られた多くの興味深い反応と合わせて解説しました。

 

50万を超える天然物には、芳香環あるいはヘテロ環といった環構造が存在しています。これらは、化学構造の大きな変化により構築されますが、化合物の主骨格となる炭素鎖を生合成する酵素によるものではなく、酸化酵素による酸化反応とともに環化することで創り出されています。これまでにシトクロムP450、フラビン酵素、ラジカルSAMなどが触媒する環化反応を明らかにしました。こういった生体反応は強酸・強塩基あるいは高温といった助けを借りること無く、極めて温和な条件で反応を進行させ、かつ光学活性体を生みます。従って、酵素活性部位と基質アナログなどによる複合体を観察できれば、このような反応場をテンプレートとした触媒を設計できるようになり、汎用性を高めた人工触媒を構築可能となることが期待されます。

 

本成果は、本学薬学部 生薬学分野 渡辺 賢二 教授とUCLA Yi Tang教授らによるJSPS頭脳循環共同研究成果です。化学分野において権威のある国際化学雑誌「Chemical Reviews(5-Year Impact Factor: 51.560) 電子版に20161212日付けで掲載されました。

 

 2016 1212 fig

 

〈掲載された論文〉

Oxidative Cyclization in Natural Product Biosynthesis

Mancheng Tang, Yi Zou,Kenji Watanabe, Christopher T. Walsh* and Yi Tang*

 

関連リンク:ACS Publication

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.chemrev.6b00478    

 

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