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アルコールの酸化には多くの酸化剤が用いられる(「現代有機化学」上,第 8章参照).第一級アルコールの酸化では,まずアルデヒドが生成する.アルデヒドは酸化されやすいため,通常の酸化剤(例えばクロム酸−硫酸)を用いたときはさらに酸化され,カルボン酸を生成する.PCC (pyridinium chlorochromate) は E. J. Corey(米国,有機合成化学者,ノーベル賞受賞者)らにより開発された緩和な酸化剤であり,第一級アルコールからアルデヒド,第二級アルコールからケトンを合成する場合に使用される.また,分子内に二重結合があっても,これを酸化しないので,複雑な天然有機化合物などの合成に繁用されている.本実験ではこの代表的な酸化剤である PCC を用いて,第二級アルコールの酸化によるケトンの合成を実験し,成績体の簡便な分離,精製法も実験する.アルコールとしては,光学的に純粋な l-menthol(モノテルペン)を用いる.これは医薬品,香料,清涼剤などとして重要である.成績体であるl-menthone も光学活性化合物の合成中間体やキラル補助団として有用である. この実習では,次のような操作をマスターする. 傾斜(デカンテーション),ショ−トカラム,薄層クロマトグラフィ− (TLC),反応進行状況の追跡, p-アニスアルデヒド試薬による TLC の発色 |
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