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 1,3−ジエンとアルケン(またはアルキン)を反応させると二つの炭素−炭素結合が同時に生成し,シクロヘキセン(またはシクロヘキサ−1,3−ジエン)を生じる.この反応は発見者の名に因んで Diels-Alder 反応といわれる(O. P. H. Diels, K. Alder, 独,1950年度ノーベル化学賞).この反応は環化付加反応の代表的なものであり,6員環状化合物を合成する最も効率的な反応の一つである.この反応は極めて高い立体選択性をもっている.このような環化付加反応の理論はWoodwardら,福井らにより解明された(Woodward-Hoffmann 則: R. B. Woodward, R. Hoffmann, 米,フロンテイア電子理論,福井謙一,日,いずれも1981年度ノーベル化学賞).

 Diels-Alder 反応は一般にエンド則に従い,速度論的に有利なエンド体が生成する(「現代有機化学」上,14章).本実験の反応も速度論的にはエンド体が有利であるが,この環化付加反応が室温下可逆的なため,最終的には熱力学的により安定なエキソ体が主成績体として得られる(熱力学支配).

この実習では,次のような操作をマスターする.

  室温での反応(まぜるだけで反応),試薬と溶媒の兼用,酢酸エチルから再結晶