Grignard 試薬(RMgX) は有機リチウム化合物と並び,有機合成化学において最も広く用いられている有機金属炭素求核試薬の一つである(F. A. V. Grignard,仏はこの試薬の発見により,1912 年ノーベル化学賞受賞).これらの有機金属化合物は一般に反応性が高く,水分はもとより炭酸ガス,酸素とも反応して分解する.Grignard試薬の合成は対応する有機リチウム化合物の合成に比べ容易である.ここでは,このような有機金属試薬を用いる反応として,臭化フェニルマグネシウムの合成とその安息香酸メチルとの反応によるトリフェニルメタノールの合成を実験する.Grignard 試薬については,「現代有機化学」上,8章,9章,13章などで学習した.なお,Grignard 試薬生成の際,一般に副成績体としてジフェニルが生成する.

この実習では,次のような操作をマスターする.

  無水条件下での反応,有機金属化合物の合成,発熱反応,滴下ロートの使用