レジオネラ属菌は、肺炎を主症状とする在郷軍人病あるいはインフルエンザ様症状を示すポンティアック熱の原因病原体です。

この菌は元来、河川、土壌中など自然環境中に常在する菌ですが、最近では人工環境中の感染源による人体への感染が特に問題となっています。この菌は自然界において、水系環境に生息するアメーバ等の原生動物内に寄生し、空調施設の冷却水、循環式お風呂・温泉などによって発生されるこれら含有のミストを吸入することによりヒトへの感染が成立します。さらに、感染後はマクロファージなどの免疫担当細胞の殺菌作用に抵抗し細胞内で増殖することによって、ヒトに健康被害をもたらします。

 私たちは、レジオネラ菌の生態系と人体への感染系を考慮に入れ、宿主と菌との相互作用を分子レベルで解き明かすことによって、レジオネラ属菌がヒトに病気を起こすメカニズムの全容を解明したいと考えています。さらに将来的には、これらの成果が効果的なワクチン・治療薬の開発、あるいは様々なレジオネラ感染防止対策に貢献できることを目標としています。

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