教授 近藤 啓 Ph.D.
 創剤科学分野 創剤工学研究室には,私の他,岩尾康範准教授,木村晋一郎助教の3名のスタッフがいます。平成30年度は,博士後期課程4名,前期課程8名,学部6年生3名,学部5年生4名,学部4年生6名の合計28名で創剤研究に取り組んでいます。
 “くすり・医薬品”という言葉から多くの方は錠剤やカプセル剤といった剤形を想像することでしょう。患者さんが服薬可能な剤形を創り出す創剤技術を研究する製剤学はユーザーに近い学問の一つであり,実学の色が強いと言えます。どんなに薬理活性の高い化合物が見いだされたとしても,患者さんが服薬できる“くすり・医薬品”にならなければ薬物治療は達成されません。また,近年の創薬パラダイムシフトは従来の低分子化合物に加え,中分子化合物,抗体,核酸・遺伝子,細胞といった新しいモダリティの研究を活性化しています。モダリティの多様化は,患者さんにとって薬物治療の選択肢が拡がることに繋がりますが,実現を可能にするためには,それぞれのモダリティの効果を最大限に引き出す製剤・DDS(Drug Delivery System)技術の進展が必須となります。
 “くすり・医薬品”は,一定量の薬物が含まれていること,一定期間の安定性が確保されていること,一定の品質で再現性良く製造されること,を考慮して設計されており,これらを扱う製剤学の重要な役割はユニット化により患者さんが服薬可能な剤形を創り出すことになります。一つの“くすり・医薬品”にはたくさんの製剤に関する技術・情報が組み込まれています。
 DDSとは,「必要な場所」に「必要な量」を「必要な時間」だけ作用させ,薬物の効果を最大限に発揮させるための体内動態制御技術・システムのことであり,吸収制御型DDS,放出制御型DDS,標的指向型DDSの3つの基幹技術に分類されます。機能性添加剤の創製,製剤製造装置の開発,分析技術の進展により近年のDDS研究の推進力は増大しています。薬物の有効性・安全性・服薬時の利便性の改善により価値の高い“くすり・医薬品”の創出が期待されています。
 創剤科学分野 創剤工学研究室では従来の経口固形製剤化技術開発、粉体工学研究に加え、新しいモダリティをヒトに投与可能にする製剤・DDS技術の研究開発を進めていきます。新規放出制御製剤の開発、ナノテクノロジーを駆使した新規DDS技術の開発を通して、テーラーメード製剤、小児用製剤の具現化を目指し、患者さんに届くモノづくりを念頭に置いた基礎研究に取り組んでいきます。



静岡県立大学薬学部 創剤科学分野
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