A臨床薬理・薬物動態学研究
この研究テーマは、お薬をどのように賢く使用するかについての科学的根拠を与えるための研究です。投与された薬物は体の中で血流にのって広がって行き、効果を発揮します。その過程では、併用されている薬物と相互作用を起こしたりする可能性があります。また体の中の薬の量と作用の関係を明らかにすることで、薬物治療を確実なものにできると考えられます。このような薬の薬物動態や薬力学をヒトで明らかにしようとする研究が臨床薬理・薬物動態学研究です。具体的には、
1.ヒトを対象としたカクテル試験法の確立と応用
カクテル試験は、代謝酵素やトランスポーターの基質薬を同時に投与し、一挙に薬物相互作用を明らかにする方法です。この研究では、現行のカクテル試験を用いて評価を行うとともに、さらに新たな利用しやすいカクテル試験法や開発を行います。
2. 日本人肺高血圧患者における治療薬のTDMと臨床効果、ならびに母集団薬物動態解析
この研究では、難病の一つである肺高血圧症の治療薬のTDMを行います。TDMは薬物治療の個別化手法の1つで、治療薬の血漿中濃度の測定を行い、薬物動態的な解析を加え投与設計に反映させることを目的としています。
3. 上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬とプロトンポンプ阻害薬の相互作用の検討と臨床的インパクトの解明
肺がんの治療薬であるチロシンキナーゼ阻害薬とプロトンポンプ阻害薬との相互作用について、胃内pHと血漿中濃度との詳細な関係性を動物実験により明らかにします。また実際に投与されている患者さんのデータからこの相互作用の臨床的なインパクトを明らかにします。
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