第309回 月例薬学セミナー
(令和 5年度 第 5回)
日時: 令和 5年 9月 11日(月) 16:00 ~ 17:30
場所: 小講堂
世話教室: 統合生理学分野
対象: 大学院生,学部生,教職員,学外からの参加も歓迎致します.
演題: 酸素受容におけるイオンチャネル機構の意義
講師: 森 泰生 先生
京都大学大学院工学研究科 合成・生物化学専攻 教授
概要: ヒトを含む好気性生物の生命維持にとって酸素(O2)は必要不可欠である。従って、好気性生物は低酸素環境・状態に陥ると、それを凌ぐための機構を発動し、低酸素応答を誘導する。その中でも造血などの遺伝子転写が担う緩徐な低酸素応答においては、低酸素誘導性転写因子HIFのPHDによるプロリンヒドロキシ化とユビキチン化酵素VHLによるタンパク質分解の重要性が注目されてきた。一方、呼吸や心血管収縮の調節を伴う急性の低酸素応答においては、頚動脈小体のグロムス細胞が担う酸素受容・適応が中心に議論されてきた。しかし、近年、体内各所に酸素受容機能が遍在することが示唆されるようになり、その重要性が認識されつつある。我々はTRPカルシウム透過型カチオンチャネル群が調節する酸素受容を追究してきた。本講演においては、TRPA1チャネルが担う急性の低酸素応答における酸素受容・呼吸調節、その基盤となる分子機構ついての新知見と生理的普遍性について議論したい。
「統合生理学特論」受講の大学院生は必ず出席すること.
月例薬学セミナー委員会
問い合わせ先: 静岡県立大学 薬学部 統合生理学分野 原雄二
Tel: 054-264-5733, E-mail: yhara@u-shizuoka-ken.ac.jp