大学院特別講義
日時: 令和6年3月21日(木)13:00 〜14:30
場所: 静岡県立大学 小講堂
世話教室: 免疫微生物学分野
対象: 大学院生、学部生、教職員等
学外者からの参加も歓迎します。
演題: 酸素の代謝運命を追跡する〜臨床メタボロミクスの最先端〜
演 者:杉浦 悠毅 特定准教授
(京都大学大学院医学研究科附属がん免疫総合研究センター)
概要:NO、CO、モノアミン、プロスタグランジン、ステロイドホルモンなどの低分子シグナル伝達因子は、炎症をはじめとした生体内イベントのプログラムされた進行と収束をコーディネートしている。これらの小分子はすべて、オキシゲナーゼによって触媒される分子状酸素の添加反応によって生成されるものであり、質量分析を駆使した古典的な生化学的研究 (J Biol Chem. 1957) によって見出されたことに、もう一度注目したい。一方で、これらの低分子シグナル伝達因子のin vitroでの生理活性はよく研究されているものの、in vivoでの時空間動態(臓器内のどの細胞で生成され、拡散-作用するか)は、有効な分子イメージング技術がないために理解が進んでいない。私たちは、この技術的ギャップを埋めるために、高感度イメージング質量分析(IMS)を開発した。本セミナーにおいては、最先端のIMS・メタボロミクス解析が切り開くin vivo代謝生化学について紹介する。最新のCOVID19バイオマーカ研究 (Nature Communications. 14. 2023) について取り上げるとともに、ヒト腫瘍切除検体で低分子シグナル(GABA)の微小環境を可視化することで発見した、免疫細胞間のGABAシグナルネットワークについても取り上げたい (Nature 599: 7885, 2021)。
問い合わせ先・連絡先:
静岡県立大学 薬学部 免疫微生物学分野 梅本 英司
Tel (054) 264-5716,
E-mail: eumemoto@u-shizuoka-ken.ac.jp