2021/10/18 月例薬学セミナー(井上 豪 先生)

第293回 月例薬学セミナー

(令和3年度 第5回)


日 時:令和3年10月18日(月) 16時00分〜17時30分
場 所:Zoomにて開催(参加URL情報等は別途通知)

世話教室:生命物理化学教室

対 象:大学院生、学部生、教職員(学外からの参加も歓迎致します)
 

講 師:井上 豪 先生
大阪大学大学院薬学研究科 教授
 

演 題:除菌消臭剤MA-Tのメカニズム解明に基づく酸化制御技術の開発と応用

講演概要:

MA-Tは「要時生成型亜塩素酸イオン水溶液(Matching Transformation System)」の略称であり、日本の航空機のほぼ全機で採用されている除菌・消臭剤である。これを0.01%含む水溶液は、SARS、MERSのコロナウイルスや新型のSARS-COV2に対して有効なほか、培地の存在下でも多剤耐性菌に対して低濃度で有効に作用する(BPB Reports, 2021)。ヒト由来細胞の各種モデルを用いた実験で0.05%の濃度までは細胞刺激性が認められず、高い安全性と有効性を兼ね備えた反応システムが採用されている。我々は、MA-Tの主剤である亜塩素酸イオンの活性化を様々に制御することによって、気体燃料であるメタンガスを常温・常圧下、全て液体燃料となるメタノールとギ酸に変換する反応を発見し(Angew. Chem. Int. Ed., 2018)、プラスチックの表面酸化修飾で様々な新素材の開発が可能であることを実証した(Chemical Comm., 2019)。科学技術振興機構の産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)のサポートによってクライオ電顕に用いるツール開発に展開中のほか、さらに広範囲の活性化/制御技術の開発と応用化を検討している。

本講義では、OPERAで展開中のMA-Tを活用した幅広い応用例について紹介する。

(参考)https://www.jst.go.jp/pr/jst-news/backnumber/2021/202108/pdf/2021_08_p08-11.pdf

月例薬学セミナー委員会

問い合わせ先
静岡県立大学薬学部

生命物理化学教室 橋本 博
Tel: 054-264-5644
E-Mail: hash@u-shizuoka-ken.ac.jp