2021/11/05 大学院特別講義 佐藤 隆章 先生

大学院特別講義   

演題:複雑化合物の超短⼯程合成を実現するには

演者:佐藤 隆章 先⽣

  (慶應義塾⼤学 理⼯学部 応⽤化学科 准教授)

日時令和3年11月 5日(金) 16:00〜17:30

講義形式:Zoomを用いる遠隔講義

対象:大学院生,学部生,教職員

概要:  複雑な構造をもつ有機分子を効率良く合成するには、どうすればよいでしょうか。合成化学者にとっての最重要命題に対し、私が心がけているのは以下の3つです。

佐藤隆章の合成3原則

(1)できる限り工程数を減らす反応・戦略を考える。

(2)合成の効率化に必要な反応は、自分達で開発する。

(3)優秀な人材の確保・教育。

 合成3原則をどのように実践展開しているかについて、ステモアミド類の網羅的全合成を1つ目の例としてお話しします。(1)については、各々の有機合成化学者で強いこだわりがあると思います。私のこだわりのキーワードは、「複数の反応点」・「基準官能基」・「立体化学を考慮しない」です。(2)については、官能基選択性が重要になります。複雑分子の合成では、様々な官能基が共存する中、望みの官能基のみを変換しなければなりません。ある反応に、官能基選択性が付加されるだけで、有用な反応に早変わりします。(3)については、実験する者の創意工夫なくしてゴールなしという例をお示ししたいと思います。

 2つ目の例は、全窒素糖の合成です。糖の水酸基を全て窒素官能基とした全窒素糖をいかに短工程で合成するかについてお話しします。短工程化の基準官能基としては不向きとされている水酸基の活用が鍵となります。

本講義は「薬科学特論」および「薬学セミナー」の対象となります。関係する学生は出席カードを提出してください。

なお、Zoom の詳細は前⽇までに教員の先⽣がたにお知らせします。 

  問い合わせ先:静岡県立大学 薬学部 医薬品化学講座

眞鍋 敬(manabe@u-shizuoka-ken.ac.jp)