大学院特別講義
日時:令和4年5月12日(木)10:40〜12:10
場所:オンライン
(Zoom にて開催、参加 URL 等はメールにてご案内いたします。)
対象:大学院生、学部生、教職員
演題:相分離する非構造タンパク質と相分離を調節する構造タンパク質
演者 :吉澤 拓也 博士(理学)
立命館大学生命科学部生物工学科 講師
概要:多くのタンパク質はアミノ酸配列によって決定される立体構造があり、かたちを持つことで機能する。その一方で、特定の構造をとらないタンパク質も存在するが、その意義や機能は長く不明であった。近年、そうした構造を持たないタンパク質について、液-液相分離することが重要な機能として捉えられるようになってきた。液-液相分離とは、水と油が分離するように空間内の成分が均一に混ざり合わずに液体と液体とに分離する現象である。細胞は液-液相分離を分子集積や区画化に利用し、転写、シグナル伝達、分化、ストレス応答など様々な機能を調節することが明らかとなった。液-液相分離は、高次機能の発現を可能にしている一方で、その異常は神経変成疾患などの重篤な疾患とも密接に関わる。本講義では相分離生物学の概要に加え、相分離研究の代表的なタンパク質である RNA 結合タンパク質 FUSについて、①温度と圧力を軸としたFUS の液-液相分離の評価(J Phys Chem B, 125:6821, 2021; J Am Chem Soc, 143:19702, 2021)、②FUS の液-液相分離を調節する核内輸送タンパク質Kapβ2(Cell,173:693, 2018)、③筋萎縮性側索硬化症 ALS に関連する液-液相分離異常(Sci Rep, 11:3754, 2021; Nat Commun, 12:5301, 2021)について紹介する。
問い合わせ先:
静岡県立大学薬学部
生命物理化学分野 橋本 博
TEL: 054−264−5644
E-mail: hash@u-shizuoka-ken.ac.jp
「薬品物理化学特論」を履修していない学生は「薬科学特論」の対象となりますので、セミナーカードを提出して下さい。提出方法は別途ご連絡いたします。
「薬品物理化学特論」を履修している学生は「薬科学特論」の対象にはなりませんが、必ず受講して下さい。