木村俊秀 「スイッチの「オフ?」がいざなう世界」 (薬理学分野 准教授)

木村俊秀 (薬理学分野准教授)

スイッチの「オフ?」がいざなう世界

 Gタンパク質には、GTPが結合した型とGDPが結合した型が存在し、GTP型にのみタンパク質が結合し下流にシグナルを伝えると考えられてきました。そのため、GTP型はスイッチの「オン」、GDP型はスイッチの「オフ」と例えられ、Gタンパク質は細胞内で分子スイッチの役割を果たすと考えられています。
 わたしは、GTP型Gタンパク質に結合するタンパク質群をスクリーニングしていたはずが、これまで不活性型と考えられてきたGDP型Gタンパク質に結合し、シグナルを下流に伝達するタンパク質群を見出しました。これらの結果は、Gタンパク質が単純な「オン」「オフ」スイッチではなく、線路のポイントのように行き先を切り替えるタイプのスイッチとしても機能していることを示唆しています。
 以来、わたしはこの少々風変わりな「オフ?」シグナリングの魅力にとりつかれ、実験結果に一喜一憂しながらも美しいサイエンスの世界を楽しんでいます。

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