吉村文彦 (医薬品製造化学分野准教授)

三次元的に複雑な化合物を自在に作る
飽和結合に富む化合物(sp³炭素豊富化合物)は、平面性が高い化合物とは異なり三次元的に広がった構造をとります。医薬品開発において、これらの化合物は標的生体分子と特異的かつ強固に相互作用する可能性が高いため、注目を集めています。しかし、sp³炭素豊富化合物の合成は、クロスカップリング反応の進展に伴い合成が容易になった平面性化合物と比べると、未だに困難です。
私たちは、「反応開発」と「天然物全合成」を同時に行う二刀流のアプローチで、sp³炭素豊富化合物のなかでも特に合成が難しい「第四級不斉炭素」が密集した化合物の効率的な合成法の開発に取り組んでいます。また、研究・教育を通して、学生がもつ無限の可能性を伸ばしたいと考えています。